こんにちは、あるいは、こんばんは。
今回は、井戸のメンテナンスについて掘り進めます。
井戸は、一度掘ったら永久に使えると思われるかもしれませんが、本来の性能を維持していくためには定期的なメンテナンスが必要です。
用語説明
はじめに、今回使う井戸の用語について説明します。
ケーシング
「ケーシング」には、ウインナーの皮の部分という意味があります。井戸におけるケーシングとは、水をため込んでおくための管のことを指します。
スクリーン
井戸のケーシングのうち、帯水層から水を取り込む部分には数ミリ大の穴が多数開いています。この穴が開いた部分をスクリーンといいます。
浚渫(しゅんせつ)
水の底のほうに溜まった土砂等を浚う(さらう)ことをいいます。
ベーラー
一般的には、農作業用の機械の一種で、刈り取った干し草や藁をかき集めて、ひとまとまりに束ねるトラクターのようなものをいうようですが、井戸におけるベーラーは、長さ数メートルの鋼管の底に弁がついているものをいいます。イギリス英語で、底に溜まった水をバケツ等で掻き出すことを「ベールアウト」というそうなので、ここからきているものと思われます。
井戸は年月が経つとどうなるか
水質や地質によって様々なので一概にはいえませんが、一般的には数年経てば水の出方が低下する等の症状が現れます。
これは、スクリーン部分に開いている通水用の穴が、地層の砂や砂利で詰まってくることが第一の原因です。
また、ケーシングが鉄の場合は、錆によってスクリーンの穴が塞がる場合もあります。
他には、水質の悪化や、砂が混じるようになる等の症状が現れることがありますが、原因は様々で、ましてや地中数十メートル以上深いところの話になりますので、はっきりと断定するのは難しくなります。
メンテナンス工事
井戸の能力低下を予防するために定期的に行ったり、能力低下が起きてしまってから行ったりします。
ブラシによる掃除
ケーシングの中に円盤状のブラシを下ろしていき、ケーシングやスクリーンの内壁を掃除して、スクリーンの穴に詰まった砂等を除去します。
浚渫
ベーラーを使って、底に溜まった砂や土砂、ブラシで掻き落とした砂や錆を汲み上げます。
同時に、汲み上げた分の地下水がスクリーンを通ってケーシング内に流れ込んでくるようになり、それを繰り返すことによって、新しい水の通り道ができます。
揚水
コンプレッサーを使って、井戸の水面より下のほうに空気を送り込んで水を噴出させる方法や、水中ポンプを使って水を汲み上げる方法があります。
ブラシによる掃除や、浚渫時に井戸内の水が濁るため、濁りがとれるまで排水します。
※要注意※
井戸のメンテナンスをするには、揚水管やポンプを抜く必要があるため、井戸周辺や上部に作業スペースが必要です。「井戸が完成したからいいや~」と、真横に車庫や小屋を作ったり、真上に屋根を作ってしまうと、水の出が悪くなったり水質が悪化した際に、メンテナンス工事ができなくなります。そうなったら、井戸を残すか車庫や小屋を残すか、どちらか選ばなくてはいけなくなるかもしれません。井戸周辺に何か置いたり建設したりする場合は、井戸屋さんに相談したほうが良いかもしれません。
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